《みちる》 もうかりますか?
Hi! 『もうかりますか?』のお話です。
名古屋で日本語教育の先生方とお茶を飲みながら話をしていると、
こんなことがありました。
一緒に座っていた若いアメリカ人の男性が、
いきなり『もうかりますか?』と訊いてきました。
関西なら「ぼちぼちでんな!」と決まり文句が出るでしょう。
でも、場所は名古屋…。
しかも、その場にいたのは教育関係の人たちで、
金儲けにはおよそ縁の薄い人ばかり。
皆、なんて答えてよいか分からず黙ってしまいました…。
しばらくして、ようやく一人の先生がぽつりと口を開きました。
「今は…、あまり景気がよくないからね…」
とやっと答えると、彼はへんな顔をしています。
それから彼は、いきなり立ち上がってこう言いました。
「ちょっと、おてらへいってきます!」
そして、スタスタとどこかに歩いていってしまいました。
「お寺へ?」
残された私たちは、ますます首をかしげてしまいました。
後で分かった話ですが、
英語圏の人は日本語の2つの母音が並ぶと別々に発音しないで、
続けて発音する傾向があるようです。
つまり、『もうかりますか?』ではなく、
『もうかえりますか?』と彼は言っていたのです。
そして『ちょっと、おてらへいってきます』ではなくて
『ちょっと、おてあらいへいってきます』と言っていたのです。
一つの母音が抜けたり、不正確に発音すると、
全く違う文に聞こえることがあります。
そして、その場にいたら意味がわからず、
笑い話のように滑稽に感じられてしまうのです。

でも逆に、私たちの英語もちょっと不注意に省略したり、
語順を変えたりすると、意味が変わってしまって、笑い話のようになったり、
場合によっては失礼な意味になったりするのですよ。
しかも、案外よく口に出す会話にもあるので、
私たち本人は気がつかないことがいろいろあるのです。
◆例えば…
“Mother is sick in bed today.”(お母さんは今日病気で寝ています。)
と友達が言った場合、“Too bad.”と返す人がいますね。
「友達だから短く言えばいい」と思って、
(お気の毒ですね)という意味で言ったつもりでしょうが…、
(しょうがないね。自業自得だ。)という意味に聞こえてしまいます。
やはり、はっきりと(お気の毒ですね)という意味で言いたければ、
“That's too bad.”と「決まり文句」で言わなければいけなせん。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆では、こんな場合はどうですか?
外国人の方との食事のときに箸を出されたと想定して、
(あなたは箸を使えますか?)と聞いてみましょう。
“Can you use chopsticks?”と言う人、いませんか?
(あなたに箸なんか一体使えるんですか?使えるわけないでしょう?)
という意味に聞こえてしまいます。
「Can」には「能力がある」という意味があります。
だから、“Do you use chopsticks?”と言いましょう。
他の場合も同様です。
“Do you read hiragana?”(あなたはひらがなを読めますか?)
などと使ってください。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆こんな言葉を言う機会がたくさんあると思います。
“I can speak English a little.”
(私だって、少しぐらいは英語を話せますよ。)という意味に聞こえます。
“I can speak a little English.”
これだと(私は英語を少し話せます。)という意味になります。
「a little」の位置を変えると、副詞が形容詞になりますから、
意味が変わってくるわけですね。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆少し換えると意味が全く奇妙になる文に、こんな例があります。
“Which do you like better, cat or dog?”
(ネコとイヌと、どちらが好きですか?)と訊いたつもりでしょうか?
…そうなっていませんよ!
(ネコの肉とイヌの肉と、どちらが好きですか?)
…と訊いていることになります。
「わぁ、いやだぁ!食べるの?」って言われそうですね。
“Which do you like better, cats or dogs?”
が正解です。
「s」を付けるか付けないか、…なのに大変な違いになってしまいますよね。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まだまだ私たちが使ってしまう英語、
すなわち学校で習った英文のなかにも、
英語としては間違っていなくても、
英語圏の生活では滑稽だったり失礼だったりする英語が含まれています。
◆(今、何時ですか?)と尋ねるとき、
“What time is it now?”
と教科書にあった(教室英語)を使っていませんか?
学校で時計の読み方を勉強しているわけではありませんよ。
“Do you have the time?”
と言いましょう。
でも、これは(時間がありますか?)と誘っているのではないので、
勘違いしないこと。
(何時ですか?)と尋ねる時に使います。
(時間がありますか?=お暇ですか?)は
“Do you have time?”ですから、念のため。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆(お名前は何ですか?)と尋ねるとき、
“What's your name?”
と これも(教室英語)を使っていませんか?
取調べでは ありませんよね。
“May(or Can) I have your name, please?”などを使いましょう。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆(どうぞ お座りください。)と言うとき、
“Please sit down.”とか“Sit down, please.”
と(教室英語)が登場していませんか?
いくら「please」をつけても、(座りなさい!)(座れ!)という命令に
聞こえてしまいます。
小さい子供や自分の仲間ならそれでもよいのですが、
“Would you (like to) sit down?”とか、
“Would you take a seat?”などの表現を使いましょう。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
『もうかりますか?』は発音が原因でした。
でも外国人にとって日本語は、とても複雑で奥深いようです。
少しでもネイティブに笑われない英語を使いたいですね。
これからも「さんぽみち」で一緒にお喋りしながら、
こういうことも考えていきましょう。
名古屋で日本語教育の先生方とお茶を飲みながら話をしていると、
こんなことがありました。
一緒に座っていた若いアメリカ人の男性が、
いきなり『もうかりますか?』と訊いてきました。
関西なら「ぼちぼちでんな!」と決まり文句が出るでしょう。
でも、場所は名古屋…。
しかも、その場にいたのは教育関係の人たちで、
金儲けにはおよそ縁の薄い人ばかり。
皆、なんて答えてよいか分からず黙ってしまいました…。
しばらくして、ようやく一人の先生がぽつりと口を開きました。
「今は…、あまり景気がよくないからね…」
とやっと答えると、彼はへんな顔をしています。
それから彼は、いきなり立ち上がってこう言いました。
「ちょっと、おてらへいってきます!」
そして、スタスタとどこかに歩いていってしまいました。
「お寺へ?」
残された私たちは、ますます首をかしげてしまいました。
後で分かった話ですが、
英語圏の人は日本語の2つの母音が並ぶと別々に発音しないで、
続けて発音する傾向があるようです。
つまり、『もうかりますか?』ではなく、
『もうかえりますか?』と彼は言っていたのです。
そして『ちょっと、おてらへいってきます』ではなくて
『ちょっと、おてあらいへいってきます』と言っていたのです。
一つの母音が抜けたり、不正確に発音すると、
全く違う文に聞こえることがあります。
そして、その場にいたら意味がわからず、
笑い話のように滑稽に感じられてしまうのです。

でも逆に、私たちの英語もちょっと不注意に省略したり、
語順を変えたりすると、意味が変わってしまって、笑い話のようになったり、
場合によっては失礼な意味になったりするのですよ。
しかも、案外よく口に出す会話にもあるので、
私たち本人は気がつかないことがいろいろあるのです。
◆例えば…
“Mother is sick in bed today.”(お母さんは今日病気で寝ています。)
と友達が言った場合、“Too bad.”と返す人がいますね。
「友達だから短く言えばいい」と思って、
(お気の毒ですね)という意味で言ったつもりでしょうが…、
(しょうがないね。自業自得だ。)という意味に聞こえてしまいます。
やはり、はっきりと(お気の毒ですね)という意味で言いたければ、
“That's too bad.”と「決まり文句」で言わなければいけなせん。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆では、こんな場合はどうですか?
外国人の方との食事のときに箸を出されたと想定して、
(あなたは箸を使えますか?)と聞いてみましょう。
“Can you use chopsticks?”と言う人、いませんか?
(あなたに箸なんか一体使えるんですか?使えるわけないでしょう?)
という意味に聞こえてしまいます。
「Can」には「能力がある」という意味があります。
だから、“Do you use chopsticks?”と言いましょう。
他の場合も同様です。
“Do you read hiragana?”(あなたはひらがなを読めますか?)
などと使ってください。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆こんな言葉を言う機会がたくさんあると思います。
“I can speak English a little.”
(私だって、少しぐらいは英語を話せますよ。)という意味に聞こえます。
“I can speak a little English.”
これだと(私は英語を少し話せます。)という意味になります。
「a little」の位置を変えると、副詞が形容詞になりますから、
意味が変わってくるわけですね。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆少し換えると意味が全く奇妙になる文に、こんな例があります。
“Which do you like better, cat or dog?”
(ネコとイヌと、どちらが好きですか?)と訊いたつもりでしょうか?
…そうなっていませんよ!
(ネコの肉とイヌの肉と、どちらが好きですか?)
…と訊いていることになります。
「わぁ、いやだぁ!食べるの?」って言われそうですね。
“Which do you like better, cats or dogs?”
が正解です。
「s」を付けるか付けないか、…なのに大変な違いになってしまいますよね。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
まだまだ私たちが使ってしまう英語、
すなわち学校で習った英文のなかにも、
英語としては間違っていなくても、
英語圏の生活では滑稽だったり失礼だったりする英語が含まれています。
◆(今、何時ですか?)と尋ねるとき、
“What time is it now?”
と教科書にあった(教室英語)を使っていませんか?
学校で時計の読み方を勉強しているわけではありませんよ。
“Do you have the time?”
と言いましょう。
でも、これは(時間がありますか?)と誘っているのではないので、
勘違いしないこと。
(何時ですか?)と尋ねる時に使います。
(時間がありますか?=お暇ですか?)は
“Do you have time?”ですから、念のため。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆(お名前は何ですか?)と尋ねるとき、
“What's your name?”
と これも(教室英語)を使っていませんか?
取調べでは ありませんよね。
“May(or Can) I have your name, please?”などを使いましょう。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆(どうぞ お座りください。)と言うとき、
“Please sit down.”とか“Sit down, please.”
と(教室英語)が登場していませんか?
いくら「please」をつけても、(座りなさい!)(座れ!)という命令に
聞こえてしまいます。
小さい子供や自分の仲間ならそれでもよいのですが、
“Would you (like to) sit down?”とか、
“Would you take a seat?”などの表現を使いましょう。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
『もうかりますか?』は発音が原因でした。
でも外国人にとって日本語は、とても複雑で奥深いようです。
少しでもネイティブに笑われない英語を使いたいですね。
これからも「さんぽみち」で一緒にお喋りしながら、
こういうことも考えていきましょう。
コメント