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《みちる》 時間感覚

Hi!  今日は『時間感覚』についての話をしましょう。

以前、住んでいた街に国立大学がありました。
その大学に海外から来た留学生の日本語学習をサポートしていたとき、
我が家をその勉強の場として開放していました。
各国の政府から選ばれて来日している留学生の方達で、
年齢は20歳代から40歳代位までと幅広く、とても勤勉な学生達でした。

ある日、イランの方がエジプトとケニアの友達を連れて、
午後1時に我が家に来ることになっていました。

世界地図や各地で撮ったアルバムなど話題になりそうなものを並べて、
午後1時にはセッティングも完了して、私も楽しみに待っていました。
ところが、…2時…3時…4時…になっても、全然来ません。
ちょっと心配になって、そのイラン人の方に電話をしてみました。

「どうしましたか?」
「はい、わたしたち、今日、あなたのうちへいきます」
「もう4時ですよ…」
「はい、もうすぐ、あなたのうちへいきます」

でも、それからまた40分ほどたっても、誰も来ません。
「一体どうしたのだろう…」と いよいよ心配になった時、
「こんにちは」「はじめまして」と彼らが笑顔でやって来ました。

「なにかあったの?」と私が聞くと、
「べつに なにもありませんでした…」
と、誰も悪びれることもなく、平然としていました。

じつは、彼らの国では「午後1時に行く」という約束は、
「午後1時以降のいつか行く」という意味で捉えるのだそうです。


こんなこともありました。
多くの日系ブラジル人の方々が家族で来日したとき、
その日本語のお世話をしていたことがあります。

「次の日曜日に4歳の息子の誕生日会をしますから来てください」
というご連絡が、日系ブラジル人のNさんという方からありました。
午後2時に行くことを約束しました。
当日、私は午前中にいろいろな用事を済ませて、
午後2時少し前に指定の集会所に着きました。
でも、そこには小さい子供たちが数人、遊んでいるだけ…。
片隅には日本人の保育園の先生が一人、ポツンと座っていました。
その先生に様子を聞いてみると「私も招かれてここへ来たけど、
なんで、誰もいないのかよく分からない…」と言うのです。

それから、1時間半くらい経ったでしょうか。
ようやく、Nさんと同じ職場の日系ブラジル人が入ってきました。
「Nさんのお子さんの誕生日会は、今日の何時から?」
と、その方に尋ねてみました。
「あぁ、誕生日会ね。時間はいつでもいいです。朝でも夜でもいい」
私があっけにとられていると、その方は続けて言いました。
「多分、みんな夜遅くには来ます。
だから今、Nさん達は料理を
つくっているか、買い物をしているところです」
私は状況がよく把握できず、もう一度「時間」を確認しました。
でも、答えは同じでした。
「いつ来てもいい。いつ帰ってもいい。ブラジル人は決めません…」

のんびりした『時間感覚』ですね。
当時はびっくりしましたが、きっと今頃は…
その留学生達も日本の‘Time is money.’ の生活を習得して、
それぞれの祖国で大いに活躍していることでしょう。
そのブラジル人達も‘When in Rome, do as the Romans do.’で、
すっかり日本の生活にも慣れて
周囲の人達と良い関係ができているでしょう。 


2010年のバンクーバー冬季五輪は、夜も昼間も、日本中がその報道に
沸きましたね。

第16日目におこなわれたスピードスケート女子団体の追い抜きを
見ましたか?
決勝で金メダルとわずか100分の2秒の差というのを聞いて驚きました。
それだけ金に近い「銀メダル」だというわけで、その健闘に日本中が
大きな拍手を送りました。
『100分の2秒』は 私たちの日常生活の感覚では、考えられない
小さな『時間』です。
でもその価値は大変貴重で、非常に大きな差を作り出す…ということも、
私たちは知らされました。

もし、人生を Repeat できたら今度こそは、…と思うことは
たくさんありますが、取り戻せないのが「時間」です。
「SF」や「マンガ」の世界に存在する『タイムマシン』が
実際にあったら、いいですけどね。

その「水のように流れていく小さな時間」の価値を考えると
2010年の貴重な1秒1秒が、『大差』を作るのだということを
真剣に考えてしまいます。


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プロフィール

【みちる先生】
横浜市出身。
英語教育と日本語教育にたずさわり、その教え子達は現在、世界の第一線で活躍中。
また数多くの国々を訪問し、国際交流のボランティア活動も展開。

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